和裁技能士の世界で感じたギャップ!転職のために資格取得を目指して勉強中

転職コラム

伝統的な仕事に憧れ、和裁技能士として働き始めた

私は職歴6年目の和裁技能士です。

お客様がお店で購入した反物を、日々手作業で着物に仕立てております。

もともと古いものが好きなことと、「どうせ不透明な時代ならば絶滅するのことのない仕事につきたい」という思いから、この仕事をしています。

和裁の技術を身に付けるには、専門学校に入学したり、職業訓練校に通ったりする道もありますが、私は母の知人のツテを頼り、和裁事業所に正社員として入社しました。

最初の二年間は訓練生の扱いなのでお給料は手取り七万円ほどだったのですが、社員寮に住み、昼と夜の賄いがあったので技術の習得に集中して生活するには良い環境だと思っていました。

何せ、ずぶの素人なので最初は針の持ち方から習い、布の持ち方を学び、糸を通していない針を使い布を縫う作業をして一ヶ月ほど過ごしました。

そうしながらも少しずつ布と針の扱いは上達し、商品でも極簡単な部分なら縫えるようになってきた頃から、技術を指導してくださる先生方とも関わる頻度が増していきました。

和裁の世界での接し方のジェネレーションギャップに悩んだ

私が和裁の世界に飛び込んだのが二十歳の時。

その時二人いる先生のうち年上の先生はすでに還暦に近い年齢でした。

同期は五人いたのですが、私の他は皆高校を卒業したばかりで、はじめての「上司」との接し方に戸惑う人ばかりでした。

少しずつ和裁に慣れ、商品に触らせてもらえるようになると、先生からご指導いただく機会も増えていったのですが、そこは職人の世界。

厳しい叱責をいただくこともありました。

もちろんそれ自体は必要なことと思いますが、私はその言い方や指導方法に嫌なものを感じることも多々ありました。

とにかく言い方がきついのです。

先生方の修行時代がそうだったらしいのですが、突き放すような嫌味まじりの言い方で、泣いてしまう人もいました。

そして一度嫌だと思ってしまうと、まるであら探しのように他の嫌な点も目に付いてしまうようになってきました。

指導の面においては、こちらが質問をしようとしても「全部説明してから」と、こちらの言葉を遮ってしまいます。

せっかくやる気から質問したのに出鼻をくじかれたような気がしてがっかりしました。

また、わからない部分を質問しに行った時。

まだまだ知識などないので拙い言葉で質問することになります。

そんな時でも「何言ってるかわからない」と言われてしまいました。

わからないなりに精一杯言葉を考え怖い先生に質問に行ったのに、その様に言われてしまっては何も言えなくなってしまいます。

また、私の勤めている会社では、仕事を社員だけではなく、外注さんに任せることもあります。

いつも会社で顔を合わせる訳ではないので電話でのやり取りが多くなります。

そしてそのやり取りの中で、納品や来社の時間が遅れるといった連絡のときは用件を聞いたら無言で電話を切ってしまうということもありました。

いくら会社にとって不都合な内容だったとはいえ、上司としてその対応はあんまりではないかと感じました。

このようなことが目に付くようになってくる頃には、同期はだんだん辞めていき、一年目には三人、二年目には一人が辞め、同期は全員が辞めてしまいました。

同じ立場で頑張る同世代の人がいない、苦しいことを分け会える人たちがいないとなると私のモチベーションも下がって行きます。

同期が辞め、先輩方までぽつりぽつりと辞めていくようになると私も自然と転職を考えるようになっていきました。

転職のための武器を増やす!和裁技能士などの資格を取得することを決意

和裁技能士は国家資格です。

試験を受けるにはある程度の実務経験が必要になります。

習得できる級は三級から一級まであり、私は現在一級和裁技能士の資格を目指しています。

転職を考えた時、真っ先に思ったのが「資格を取ろう」ということでした。

和裁士から着物販売員への転職を目指すことにしたのですが、その為には今の仕事で取れる最高の資格は絶対武器になると思ったからです。

「和裁技能士一級」だけではなく、アパレル産業の基本構造や、配色の基本理論が学べる「色彩検定一級」の資格をとり、今は一般常識や立ち居振舞い、敬語が身に付く「秘書検定準一級」の勉強をはじめています。

また、転職希望先の会社会長の執筆された書籍を経営理念や方針を理解する資料として読んでいます。

地元を離れ今の会社に就職したので、転職した際に必要になるもののシュミレーションも行い、必要になるお金を把握して、家計への認識を改めることができたのは良い変化だったと思います。

「古いものに関わる仕事がしたい」と思い今の仕事につきました。

職人を名乗るには短すぎると思いますがそれなりにこの仕事に対する思いや若い後継者たちへの思いもあります。

今一番思うことは「若い人たちに伝統を託す為に、古いやり方を変えていくべきではないか」ということです。

伝統を守ることは間違いなく素晴らしいことだと若輩ながら思います。

しかし、それは日々の生活を固めた上でのことです。

これから先も文化が続いていくように効率的で正しい指導と、安定した給料を提供できるシステムが、伝統の世界にも必要だと思います。

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