大学卒業後は安定を求めて地元の金融一般職に就職した
地元の大学を卒業した後、特に希望した仕事があったわけではなく、安定した地元の金融機関に一般職として入社しました。
法人向け融資を取り扱う部署の後方事務を担当しました。
金融業でしたので細かい決まりごとが多く、毎日いろいろと指導されることの連続でした。
大きなミスをしてしまったり、プレッシャーがかかる場面が多くしばらくの間は苦労しましたが、やがて自分で考えた工夫で周囲の方々が喜んでくれたり褒めていただけることがやりがいに感じるようになっていました。
それから1年程経ち、一通りの事務を経験していく中で、この先の自分のキャリアを不安に感じ始めました。
自分は一般職で大きく出世したり担当が変わることがなく、このまま何十年も同じ仕事を続けていく中で自分はどう成長していけるだろうと思ったからです。
同時に、大学卒業と同時に都会へ出て行った同級生と再会するたび、彼らの仕事を通して大きく世の中に影響を与えたり、自分で考えたものを生み出したりして充実している様子を見、自分が取り残されているような気持ちになり、とても焦りを感じました。
そして銀行を3年勤めた後、転職を決意しました。
1日の大半、これからの人生のほとんどの時間を費やす仕事。
その仕事を通して、もっとしっかりとした人間になりたい。世の中で通用する考え方ができるようになりたい。
そして「私は人生を通してこれをやりきった」というものを持ちたい。
大学卒業の時はお金を稼ぐためにすることくらいにしか考えていなかった仕事に対する価値観が、実際に働くことを通して大きく変わっていました。
どうせやるのなら、多くの人やビジネスが集まった東京へ行こう。
長く暮らした地元を離れての上京。
一般職からの出発。不安でいっぱいでした。
スタートアップベンチャーの6人目の社員として、運命的に採用
転職活動は仕事を続けながら夜の空いた時間や休日に行いました。
しかし、エントリーしても書類が全く通らない。
転職エージェントとのカウンセリングでは、「企業の採用担当としては、応募者が地方在住者というだけで、わざわざ面接に来てもらうのをためらってしまう」と指摘をされました。
たしかに納得のいく意見です。
もしこのまましばらく決まらなければ諦めて先に東京に引っ越し、そこから転職活動を始めようと思い始めていました。
そんなある日、とある企業から書類選考通過の連絡が入りました。
ウェブ系のスタートアップベンチャーで、社員は5人。
担当業務は人事総務をはじめ制作アシスタントを含めた総合事務職としての募集でした。
ウェブ業界は全く知識のない業界ではありましたが、これまでの一般職と違い広く業務を経験できること、また社員数が少なく1人1人の存在がより重要になるという点も魅力的でした。
初めて書類選考が通過したということもあり、その時は自分が社会に認められたような気がし、とても嬉しかったのを覚えています。
さらに、その会社は現職中であった私の都合に合わせてくださり、面接は休日に行っていただけることになりました。
面接当日、初めて自分の力で東京に行けるという興奮と緊張が混ざった変な高揚感を今でも覚えています。
休日ということもあり、ビルのエントランスは薄暗く静かでした。
エレベーターを使用し指定された階にあがり、ドアを開けるとシェアオフィスをしているらしく、とても明るく広々とした職場がありました。
また、手作り感のあるエントランスの装飾がいかにもベンチャーだという印象を持ちました。
1次面接はいきなり副社長との個人面接。
面接ではこれまでやってきた業務よりも、なぜ、一般職からベンチャーに行こうと思ったのか、動機を徹底的に聞かれました。
正直、前職でやってきた業務の中で通用しそうなものがない点が心配だったので、動機はかなり正直に答えることができました。
そして1時間弱程で面接が終了した時、「今日のこの後のご予定は?」と聞かれました。
このまま地元に戻るだけで特に予定はない旨を伝えると、「今までの1次面接は通過、ぜひ次の最終面接に進んで欲しい。今回遠方から来て頂いているので、担当者は出社しているので都合があえばこのまま最終面接をしたい」とのことでした。
1次面接を全力でやりきり、脱力していたところだったので一瞬戸惑いましたが、1次通過の事実と事情を配慮していただけることがとても嬉しく、そのまま最終選考に臨みました。
最終選考は社長との個人面談。
内容としては1次と同じく、動機やこれまでの気持ちの変化、どんなことにやりがいを感じるか等。
そしてこの職場はあくまでベンチャー、ここから大きくしていくために本当に厳しい思いをすることがあると何度も説明がありました。
間違いなく、自分が思い描いていたようなキャリアが築けると確信し、覚悟していますと答えました。
そして翌日、会社から電話をいただき、ぜひ入社して一緒に働こうと言っていただきました。
本当に嬉しかったです。
同時に、ここから本当に厳しい日々が始まるのだと身が引き締まる思いでした。
数ヶ月後に金融機関を退職。上京し、いよいよ入社です。
ベンチャーの大変さ、そしてやりがいを感じる日々!転職してよかった!
入社初日、他の先輩社員とのあいさつをし、さっそく業務に入りました。
「ああ、この人たちが人生をかけてこの会社の業務に取り組んでいる人たちなのだな」と思い、少し緊張しました。
始めは制作のアシスタント業務から始まりました。
完全に未経験分野でしたが、早く役に立ちたい一心で家に帰って自分で調べたり、積極的に周囲に質問したりして業務を覚えました。
早速終電ギリギリまで働く日々が続き、いよいよ始まったなと感じましたが、同じように毎日遅い時間まで働き、やりがいで満ちあふれた仲間と働けるだけで自分も生き生きとした気持ちになることができました。
やがて人事の採用業務にも携わりました。
求人票の作成から面接調整など、思ったようにやってみてと言われました。
会社の売り上げ金額のうち、どれだけがこの採用に充てられているか。
この人数に対して1人社員が増えると受注できる仕事が増え、売り上げを伸ばすことができる。
でも、もしダメだったら・・・。
大きな責任を感じました。
案の定、初めは失敗続き。
仲間に本当に申し訳ない気持ちになりました。
しかし、グズグズしている間にも、時間は進んで行く。
少数精鋭の現場なのだから、自分で切り開いていかなければ何も変わらない。
成功した前例や「こうしたら正解」というマニュアルも当然ない。
自分にできることは、根拠を持って仮説を立てること。
そしてそれが失敗したときでも徹底的に原因を考え、次に生かせるところを見つけ、すぐに検証する。
これを繰り返した結果、採用は大成功し、社員数を倍にまで増やすことができました。
純粋に受注できる案件が増え、会社の売り上げが伸びていくのを見ると本当に頑張ってよかったと感じました。
さらに、同じように仕事を通して成長したい、世の中に価値を作り出したいと思って転職活動をする仲間を見つけ、その仲間が生き生きと働いている姿は他の何ものにも代えがたい、大きなやりがいを感じさせてくれました。
現在もまだまだ会社は成長途中。
辛い時期もありますが、自分がやったことがダイレクトに会社の成長や仲間の成長につながる。
そして同じように仕事を通して価値を創り出したいと思い、打ち込んでいる仲間と働くことができる。
それが経験できるのは転職の決断をしたからこそ手に入れることができたと思っています。
転職にあたって安定した生活を失うことや周囲からの目など、
気になることはたくさんありましたが、それを振り切ってでも挑戦したことに後悔はしていません。
将来的な目標は、もっと会社を大きくして、ずっと応援してくれている両親に安心してもらうことです。
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