子供の進学を機に不動産情報のデータ入力の事務職へ転職
子供の高校進学に伴い、安定して収入が得られる仕事がしたくて、ファーストフードのパートを辞めて、事務の仕事を探しました。
40代半ばで、事務の仕事がほとんどなかったこともあり、少しパソコンが使える程度ではなかなか決まらず、20社近く受けて、やっと受かったのが、「株式会社レベスト」でした。
データ入力のパートということでとりあえず採用されましたが、この会社の半数の人はもともとはパート出身ということもあって、採用時に「経験を積んで、勤務態度などが良ければ、社員の中途採用試験を受けてもらって、社員になることもできる」とのことでした。
どんな会社か、なにを扱っているのかも知らずにただ、「情報サービス会社」としか知らなかったので、入社した後、右も左もわからずにとても戸惑いました。
けれど、役員の方をはじめ、最初に配属された「不動産情報サービス部(ES)の部署の人達は、みなさん、とてもいい方ばかりで、覚えなければならないことはたくさんあったけれど、毎日楽しく仕事が出来ました。気の合う友達が出来たのも、この部署でした。
気分屋の上司の下に配属され、仕事は楽しいのにストレスがたまる一方
二年ほど不動産情報サービス部で仕事をした後、新しく部署が立ち上がり、その部署に異動になりました。
カード会社や銀行から依頼されて、債権回収のために相続人調査を担当する仕事です。
不動産情報サービスでは、退社時間が何時になるかわからない不安定な部署でしたが、新しい部署は、役所か銀行相手なので、毎日定時に帰れました。
ただ、上司が行政書士資格を持っている女性で、とても厳格で厳しく、気分屋で機嫌の悪いときは少しのミスも厳しく叱責されて、日々、ストレスが募っていきました。
あるときから、偏頭痛がひどくなり、体調も悪い日が増えていき、このままでは病気になるか、うつ病になって自殺でもしかねない、と思い詰めるようになっていきました。
そんな様子を見て、社長の方からまた、新しい部署に異動してくれることになりました。
環境は良かったものの、単調な仕事に心が死んでいくような気持ちに
新しい部署は、カスタマーセンターと言って、若い女性がリーダーとなっている部署でした。
会社の登記簿謄本や、建物、土地の謄本などをネットから取得したり、実際に法務局まで行ったりして取得して来たり、地方にいる調査員さんにそういった書類の取得をお願いする仕事でした。
引き継ぎ、申し送り、仕事のフォロー、明るい性格、仕事に対して前向きな人柄など、全く申し分のない上司でした。
今でも、Tさんと一緒に働けたことは、私の人生の中でも本当に価値のある経験だったと言えるほどです。
ただ、この部署でも仕事は、本当に単調で、毎日、同じことの繰り返しのみでした。
淡々と、業務をこなすだけ。電話を受け、ファックスを受け取り、それをクライアントに送信する。
毎日、それだけの繰り返しなので、仕事の愚痴もないし、人間関係も悪くなる要素は全くありません。けれども、やりがいも全くありませんでした。
不動産情報サービス部では、労働時間に関して、不満や不平があり、それが部署全体をチームとしてまとめあげていました。
納期が決まっていることもあり、仕事に向かって部署が一丸となって取り組まなければならないときもあり、それが濃密な人間関係を築いていました。
同じ部署で働く人たちと、本音も愚痴も言い合える本当の仲間という感覚で接することが出来ていました。
ところが、カスタマーセンターでは、みんながいい人過ぎて、いつもニコニコ笑っていて、本音や本当の人柄が見えてこないのです。
一緒に食事をしても、飲みに行っても誰も本当の自分をさらして話そうとしていない。そんな雰囲気がありました。
表向きは波風が立たず、穏やかだけれど、深く踏み込んで付き合うほど仲良くしたくない。
なぜか、そんな空気感があり、私はだんだんと毎日毎日、作り笑いをして、うわべだけの会話しかしない時間が苦痛になってきました。
なにより、もともと喜怒哀楽がはっきりしている性格だったのが、感情が希薄になり、愛想笑いに疲れているのか、無表情で口数も減っていると友人からも家族からも心配されるようになっていました。
そんな時なのに、「社員の採用試験を受けてみませんか?」と社長からお声がかかりました。
社員の採用試験の打診を受けて、浮かんだのが「退職」だった
Tさんの下でずっと働きたい。不動産情報サービスで仲良くなった友達とも一緒に働きたい。
でも、社員になったらまた、どこの部署に配属されるかわからない。
この会社は大好きだけれど、なぜか、自分のキャラクターがだんだん死んでいくような気がする…。
なにがやりたいのか、どうしたいのかはわからない。社員として働くのもイヤではない。
でも、社員になる、という選択をしたら、今まで生きて存在してきた私の人間性が変わってしまう。
そんな考えに行き着いた時、この会社を辞めるという選択肢が頭の中にはっきり浮かび上がりました。
そうなると、もう消えることはありません。
転職先は、とりあえず、もともと働いていたファーストフード店に戻ることにしました。
毎日、毎日、なにか変化があること、いろいろな人と接すること、やりがいがあること、なにより、いつも自分らしくあり続けることができる場所であることを実感し、転職して良かったと思っています。
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