視野が広がったことで見えてきた職場への不満
大学を卒業してからの5年間、地元の小さな会社に勤めていました。しかし、当時の職場に対して思うところがあって思い切って退職、転職をしました。そのときの体験談をお話しします。
就職したての頃は、右も左もわからず、先輩に教わるままにがむしゃらに働いていました。
新しいことを覚えるのは、とても新鮮で楽しく、毎日職場の同僚と話をしたり、取引先に伺うのも、やりがいをもっていました。
数年たち、自分一人で仕事をすることができるようになると、広い視野でものが見えるようになってきました。
そのときに気になったのが、職場の雰囲気でした。
和気あいあいとしていて、悪くない職場なのですし、従業員同士の仲もとても良いのですが、いまひとつ覇気が足りないような感じがしたのです。
一人一人、割り振られた仕事はきっちりこなしますが、普段自分が取り扱っていない仕事がきたら、できそうな人に回してしまうことが常態化していました。
そのため、効率的に仕事をしたり、勉強熱心な人にばかり、しわ寄せが溜まるという状態になっていたのです。
もっと職場全体で成長していければいいのに、と感じましたが、社内研修をするという雰囲気でもなく、このまま自分も成長できないままになってしまうのではないかと思うようになりました。
お給料の面でも、仕事のしわ寄せの影響を受けている社員と、そうでない社員で昇進や賞与の面で特段区別されているものはなく、自分の成長したいという気持ちと、それに見合った手当がほしいという思いが強くなり、退職をしようと決心しました。
早めの退職報告と十分な引き継ぎをすることで、スムーズに退職できる
退職を決めたのは8月頃だったのですが、余裕をもち12月末をもって退職すると同僚・上司に報告しました。
私が勤めていたのはとても小さな地元企業で、同僚も引き継ぎができる余裕はなく、また求人を出しても希望がくるまでに時間がかかります。
そのため、かなり余裕をもって退職準備を進めることにしたのです。
自分が主に伺っていた取引先の担当者の特徴や、仕事の仕方を出来るだけ細かくまとめ、後任に引き継ぐ時間が足りなくても何とか対応がとれるよう努めました。
新規採用は幸いにも10月に決まり、また一部の仕事は同僚が引き継ぐこととなったため、引継作業を始めました。
新規採用の方には仕事を一から教える必要があり、できるだけ側について仕事につまるごとにアドバイスできるようにしました。
また、取引先にもできるだけ顔を出して、後任と覚えてもらえるようにしました。
急な退職では、十分に引き継ぎや取引先へのご挨拶ができないことが多く、それがその後のしこりとなってしまうことがあります。
実際、私より1年程前に退職した職員の場合は、事情がありやむを得なかったのですが1ヶ月も引継期間がなく、退職後に仕事の状況が分からず右往左往することもありました。
残った職員の負担も増えて、仕事のペースがもとにもどるまで、疲弊した空気が漂う日もありました。
私の退職によって面倒が増えると、会社に残る従業員のストレスや不満のもとにもなるかもしれず、自分の退職後に職場の雰囲気が険悪になることは避けたいと思ったので、できるだけ十分に引継ができるよう努めました。
前職の不満のポイントを理解していたから、満足できる再就職先を探せた
そうこうしているうちに、12月の退職日を迎えました。
しっかりと時間をかけて、引継や挨拶に真摯に取り組むことができていたからか、会社の同僚や上司は優しく私を送り出してくれました。
頑張ってと送りだしてもらえることが、こんなにも嬉しいことだとは思っていませんでした。
退職後にも仲の良かった同僚などは、ちょっとした相談などがあるときには、連絡をくれるなど、良い付き合いが続いています。
退職後の再就職先としては、同じ業種の事業所を選びました。同じ業種の自営業のパートナーに近い形で働いています。
規模は以前勤めていた会社より小さいのですが、自分が頑張った分の手当ては保証されるので、仕事に対する意欲がとてもわいてきます。
漫然とした不安が取り除かれると、生活にも余裕を感じることができ、休日の外出も楽しく感じるようになりましたし、プライベートの時間をつかって勉強してみようと思うようにもなりました。
従前の職場を退職するときは、社会的にも経済的にも一度不安定な立場になるので、なかなか踏ん切りがつかず長く悩みましたが、当時悩んでいたことが解決される、望んでいたかたちの職場に勤めることができ、思い切ってよかったと思っています。
退職の理由は様々であると思います。
人間関係がどうしても合わなかったり、職場の給料体制に問題があったり、性格がその職種となかなか合わないなど。
現在の職場を離れることに不安を感じることもあるかもしれませんが、自分の望む職場像や将来像をよく考えイメージして、それに近づけるよう退職、再就職のステップを登ってみるのも、良いことかもしれません。