工場派遣の仕事から未経験でグラフィックデザイナーへの転職

みんなの転職体験談

工場勤務で液晶モニターを作る仕事をしていた

現在40歳男性、広告代理店勤務のグラフィックデザイナーをしておりますが転機は30歳の頃、当時していた仕事は工場派遣。

意を決して今の職種に転職いたしました。

工場派遣は20歳の頃やりたい仕事もないまま時給の良い事だけで決めた仕事で、言えば悪いですが誰でもできる仕事でした。

工場は化学関係で当時需要の高かった液晶モニターの中に入れる偏光フィルムを作る仕事です。

液晶モニターにそのフィルムを入れる事によって画面の色味が安定し視野角を広げる効果があったと言われます。

さて業務内容はと言うと原料樹脂を薬品で溶かしそれを大型の機械に流し込み温度や厚みをミクロ単位で調整し乾燥、引き延ばし、検査、製品幅にカット、出荷と言うのが一連の流れです。

樹脂搬入から製品出荷まで大まかに6工程あり1工程あたりの機械が家3軒分くらいの大きさでそれが全部で3系統ありました。

とにかく工場は広いので1日の業務時間で測定した歩数は2万歩を超える位です。

それを24時間体制の年中無休で作り続けます。

1日1行程で扱うフィルム量は幅1500mm、長さは10000m程の規模です。

それが休みなく稼働するので朝勤、昼勤、夜勤の3交代、1班で50人程、合計4班、人数で延べ200人で回していました。

条件に不満はなかったけど、30歳前後で将来を考えて転職を決めた

多くの人が考えるかと思いますが30歳前後で仕事に対し「このままでいいのかな?」とか「もっとやりたい事あるのではないか?」との考えが徐々に大きくなってきました。

給料面、人間関係、3交代勤務等の条件は全く不満はありませんでした。

特殊な条件で危険な薬品や放射線同位体を扱う事もあったので仕事する人の出入りは激しかったです。

入社後すぐ辞める人もザラで一連の作業をひと月ほど教えた後に辞められる事も多く、また今の仕事スキルが違う社会に出て役立つのかとの自問自答、また今は良くても40代、50代でも体力的に続けられるかとの不安が日に日に大きくなっていきました。

もともと絵を描く事やデザインする事が好きでデザイン系の専門学校も出てましたが仕事にするのは大変と考えており20代の頃はそういった事は敬遠してましたが、ここに来てデザイン業界で働いてみたい想いが強くなって来ました。

職場の人達とはみんな仲が良くそういった面での不満がない分、葛藤も大きい事を覚えています。

転職の前に、Illustratorの使い方を自己流で練習

右も左もわからない業界で働く事、まして新卒でもない30歳をどのデザイン業界が雇うのか、ツテもコネもないままとにかく雑誌のレイアウトや折り込み広告、巷に出回ってるキャラクターのトレスをIllustratorで練習する所から始めました。

ソフトの使い方もままならないので専門書を買って勉強しトレスしていた広告も徐々に自分でアレンジしたりしてました。

「Illustrator使えます」と言う事で知り合いなどにちょっとしたデザインを無償でやる事もしてました。

ペーペーの素人なんで対価貰うつもりはなく自分の勉強という事でそれらを続けました。

ある程度、今思えば本当にある程度ですが自分で自信が持てた頃、デザイナー募集してるデザイン会社をいろいろと調べ自分のポートフォリオを送ろうと考えました。

転職活動を開始するものの、前途は多難!殆どが書類で不採用

デザイナー募集は自分で調べたものやハローワーク等でもいろいろ出て来ました。

殆どのデザイン事務所が実務経験3年とかばかり…。

給料面を見ても現在の収入に比べ大幅に落ち込みます。

自分の置かれてる立場と照らし合わせても中々折り合いがつきません。

そんな中、とにかく初任給は安くても昇給幅の大きいものを選び自分の作品と履歴書を10社ほどに送りました。

当然実務経験はなく実務経験あります!

なんてウソ付く程自分に自信もないので正直に実務経験ゼロ、ヤル気はあります。

みたいな事を書いた記憶があります。

それから暫くして来るわ来るわ、不採用の通知が…

合否の返事すら返さないデザイン事務所もありました。

そんな中、1社だけ一度面接受けませんか?と通知が来ました。

唯一面接をしてくれたデザイン事務所。自分の能力を正直に話した

そのデザイン事務所はメインがアミューズメント広告の代理店、ようはパチンコ業界の折り込みやイベントポスターなど扱ってる会社で従業員は30名程、デザイン事務所にしては人数も多くデザインだけでなくポスター作成までして1から完成、納品まで請け負っているとのことでした。

またそれ以外にも一般的な広告物やポスターなども幅広く展開してました。

当然今現在は工場で働いてるので次の職が決まらなければ辞める事はできないしデザイン業界が無理なら辞めたくなかったのでその事も考えつつ面接にのぞみました。

面接に踏まえ更に新しく作品を作ったり面接時の対応の情報を仕入れたりして当日を迎えました。

慣れないスーツを身にまとい面接にやってくるとデザイン事務所の社長が面接官でした。

物腰柔らかく気さくそうな方で一般的な質問をされました。

その後、デザイン部のチーフデザイナーが来られ具体的な業務内容、作品の提出、現場見学をしました。

営業の方や加工出荷梱包の方は普通の会社員という印象でしたがデザイン部のデザイナーは茶髪、ピアス当たり前で自分より若い人もたくさんいました。

その後また面接室に戻りチーフデザイナーの方からの質問に答えるところで履歴書にも書きましたが実務経験ゼロ、実際に最初はわからない事だらけで足を引っ張る事も多々ありますが過程を見て欲しい、直ぐに実戦で使える人材になるつもりです。

みたいな事を言いました。

終始チーフデザイナーの方は微妙な表情をしてたような気がします。

採用が決まり、大急ぎで工場の仕事を引き継ぐことに

面接も終わり普通に工場で働いてたある日、デザイン事務所から連絡がありました。

結果は採用でした。

正直に使えるかどうかわかりませんがとは言われました。

面接時に今現在も工場勤務してる旨を伝えてたので今の仕事を辞める手続きもあるので1ヶ月待って欲しいとお願いしたところ了承もいただきました。

この時すぐ来て欲しいと言われたら断ってたかも知れません…。

さて、転職に向けて今度は今現在の職場を辞める手続きもしなければなりません。

出入りの激しい工場勤務とはいえ10年弱お世話になってるのであとひと月で辞めさせて下さいと伝えました。

勿論今後どうするかもすべて説明しました。

急遽新しい人を入れその人の指導、自分が今までやってきた業務内容をまとめたマニュアル的な物を作成し渡しました。

工場辞める最後の日は夜勤で夜勤終了後の朝から即、デザイン事務所の初出勤なんて無茶な段取りで転職しました。

いろいろ手続きもあったので暫くデザイン事務所終わった後工場行ったりとかバタバタしてました。

気が張ってたのかまったく疲れはなく只々緊張の連続でした。

未経験でのグラフィックデザイナーの仕事は前途多難!

30歳にしてようやく自分で初めてやりたい職についた訳ですがここからが大変でした。

年下のバリバリ仕事できるデザイナーについて業務を覚える中、怒られもしたり何時間もかけて作った作品が使えないと言われ没になったり…。

まぁ当たり前なんですが。

その没になった案件を他のデザイナーに渡され小一時間ほどで自分よりはるかに高いクオリティで作られた時はたまりませんでした。

また一応業務時間は朝9時から夕方6時の勤務ですが6時に終わる訳はなく全員が毎日結構遅い時間まで仕事してました。

クライアントの〆切を間に合わせて業務完了なので定時なんてあってないような物です。

今思えばデザイン業界では当たり前の事と認識できますが当時は訳わかりませんでした。

それからおよそ1年ほど覚える事、慣れる事、怒られる事、プライベートな時間使って自分個人の腕を磨く事を続けました。

その時に確信はまったくないにも関わらず3年後にはチーフデザイナーになってやる!みたいな意識で仕事してました。

転職して10年、気がついたらチーフデザイナーになっていた

現在40歳の私は今のデザイン事務所へ来て10年弱になりますがひょんな事から最初、漠然と決意した3年後にチーフデザイナーになってやる!との決意が現実となり自分より先輩の人も使う立場になってしまいました。

チーフデザイナーと言っても業務は11人いるデザイナーへ案件の振り分け、クライアントとの打ち合わせ、詰まってる所への応援、営業や加工や外注先との段取り、面接官、他部署含め社員の評価等です。

実際に制作物を作ることもありますが管理職な面が強いですね。

給料も最初は工場と比べ少な過ぎて落ち込みましたが今はソレ以上貰ってるので転職は良かったと思います。

今思えば運もあったように感じます。

肉体的より精神的に疲れる事も多くストレスも溜まりますがやり甲斐はあります。

こうして振り返るとそれぞれ年代の差し代わる頃に転機が訪れてるように思います。

今40歳を迎えデザイン事務所で得た経験を以ってそろそろ独立を考えてる今日この頃です。

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