30年前、就職氷河期に新卒入社で半年で転職
大学を卒業してすぐに入社した会社を半年で辞めて転職しました。
もう30年経ちますが、せっかく正社員として入社したところを、そんな短期間で辞めてしまう人は当時でも珍しかったと思います。
特にその頃は就職氷河期と言われ、4年生女子大生の就職は絶望的とまで言われていたので、もったいないと周りからも残念がられました。
初めて就職したのはレーザー測定器を製造販売する会社だった
私が入社したのは、レーザー測定器と言う、レーザー光線を用いて、普通は測定できないような高温のものや形の定まっていないものを測定する機器を製造販売しているとても小規模の会社でした。
そこに私は営業事務として採用されました。
社屋は普通の民家を2つぶち抜きでつなげたもので、経理の責任者は社長の奥様でした。
その奥様が私のことを、真面目でおっとりとしているところが良いと言って下さって採用が決まったようでした。
社長はとうとうウチも大卒の女子を事務員として採用できるまでになった、と満足していたようです。
様々な企業に門前払いを食らっていた私は、正社員にしてくれる、と言う言葉に飛びついたのです。
4年間も大学に通わせたんだから、早く正社員として働いて家を助けて欲しい、と言う母の言葉に答えたかったのです。
入社前にアルバイトに行った時点で感じた職場の雲行きの怪しさ
早く慣れて欲しいから、冬休みからアルバイトに来るようにと言われたのも、その内容が年賀状の宛名書きと言うことも、余り気にしませんでした。
今考えると気にした方が良かったのです。
その冬休み中から、社長の奥様の部下である経理担当の20代半ばの女性がやたらと私に突っかかってきました。
大学まで卒業して、宛名書きなんて、よくやるよねと言われましたが、私はニッコリと笑い返すくらいしか出来ませんでした。
自分でもそんなに宛名書きがやりたいわけでもありませんでしたが、まだ入社前から文句も言えませんでした。
社長の奥様には、ペン習字の練習までやらされました。
時給を頂いての練習です。
今なら、私は一体何のために採用されたのか、考え込んでしまうところですが、当時の私は一生懸命練習に励んだのでした。
入社してすぐ社長の奥様と先輩社員のいざこざに巻き込まれた
経理担当の女性と社長の奥様は、既に私が入社する頃にはとても関係が悪くなっていました。
それで社長の奥様は当てつけるように、私を可愛がり、女性の方は腹いせに私の方に突っかかって来たのです。
ぼうっとして、言われるがままにペン習字の練習をしているような私ですから、その女性もかなりイライラしたのでしょう。
とにかく女性は私が何をしても、大学を出ているくせにそんなことも知らないの、と怒りました。
終いに私は挨拶以外、その女性とは口もきけなくなってしまいました。
真相を知り、バカバカしくなり退職を決めた
最終的には女性も私に、社長の奥様とのことであなたに当たってしまった、あなたはとばっちりを食っただけだと、私に謝ってくれました。
その時に、でも自分も被害者なの、とも言っていました。
社長の奥様に学歴のことにまで文句を言われ、つい私に矛先が向いたのだそうです。
そう言われた時に、私は全てバカバカしくなりました。
私は女性に何か文句を言われる度に、やはり自分にも言われるだけの落ち度が有るのだと考え、悩みました。
しかし社会人として急に成長することは、私には出来ませんでした。
半年足らずで一人前になれるなら、誰も苦労はしません。
でも女性は私が会社を辞めるかも知れないと思って、急に私に謝ってきました。
自分が加害者になりたくなかったのが私にはよく分かりました。
その時初めて、私は新しくやり直したいと強く願うようになりました。
やり直すなら早いほうが良い、とも思ったのです。
小さすぎて、成長も見込めない職場から脱出
世界が小さすぎると、トラブルが起こった時に逃げ場がなくなってしまうことを私は最初の職場で学びました。
大企業に入る実力もコネも無いけれど、もう少し空気の循環が良さそうな場所を探そう、そう考えて私は最初の職場を退職しました。
私の採用を決めた時点で、社長夫妻はどうも職業人としての私に対する期待は殆どしていなかったようです。
大卒の事務員を雇える会社だと世間にアピールしたい、そして真面目で言うことをきく扱いやすい女の子なら誰でも良い、私にはそんな考えだったように思えてならないのです。
今は、当時の私にもう少ししっかりするように言ってやりたいです。
仕事をしてお給料を頂く以上、仕事をする自分をもっとしっかり持って、毅然としていれば、他人の争いに巻き込まれた挙句に、何もかも嫌になって仕事を辞めることにはならなかったでしょう。
退職後はショールームでの切って販売の仕事へ
その後私は転職情報誌で探し当てた会社に転職しました。
そこは最初の就職先よりも、もう少し規模が大きくて、私と同年代の女性も複数いる所でした。
切手収集を趣味にしている人たちのための切手のショールームで、切手を展示する作業や販売を担当しました。
その会社では3年ほどお世話になりましたが、規模が多少大きかったためか、一対一の人間関係のトラブルはありませんでした。
最初の会社とは全く違う職種を選ぶことで、気分も一新されました。
世間一般から見れば、私のような理由で退職するのはバカバカしいことでしょう。
私自身も恥ずかしくて、最初の職場の話は中々他人には出来ませんでした。
ですが、人生は多少失敗しても必ず取り返しがつきます。
これから転職する方も、どうか自棄にならずに次の仕事を探して下さい。
私のような理由での転職でも、次の道は用意されていました。
真面目に仕事に取り組むなら、公平な目で見てくれる人が必ずいるものです。
それまで積み上げた経験を活かすのも良いですが、どうせ転職するなら、違う世界に飛び込んでみるのも楽しいですよ。
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