デパートのテナントとして入っていた雑貨店で働き始めたときの体験談
私が会社を辞めたいと思ったのは雑貨店で働いていた時のことです。
最初は楽そうだと思って始めた仕事でしたが売り上げが伸びると楽しくなり、気づけば夢中になっていました。
その頃に起きた出来事をご紹介していきます。
私が勤めていた雑貨店は街なかのデパートの一角にあるありきたりなお店でした。
従業員も少なく、店長と最低限の人員で回していたようなお店です。
楽な仕事がしたかっただけの私にはぴったりな気がしていました。
しかし、入って直ぐに一番古くからいるスタッフに「よく入ってきたね」と言われたんです。
聞いた瞬間いびられているように思いましたがそれは思い違いでした。
そのスタッフは私のことを心配してそう言ってくれていたとわかったからです。
「なぜですか?」と聞くと、「うちの店長、変な人だから気をつけてね…」と。
何がどう変なのか聞いてみました。
すると「何日か一緒に働けばわかるよ」と言うのです。
確かに面接の段階で暗そうな印象は受けていました。
しかし、大人しいだけの人かな?と感じていた私はどう変なのかその時はまだよくわかっていませんでした。
それに、ちょっと暗いだけならむしろ元気いっぱいな人よりやりやすいと感じていたんです。
静かな環境で働きたい思いがあった私は店長がちょっと変わっていることくらい気にならないだろうと思っていました。
仕事は楽しいけど、先輩スタッフはやる気がないし、店長も様子がおかしい
すでにいたスタッフはみなやる気のない人ばかりでした。
店長からはお客さんには積極的に声をかけて商品を売り込んでほしいと言われていましたが、私以外のスタッフは店長が見ていないのをいいことに声をかけようとしません。
むしろお客さんが来ると迷惑そうにも見えました。
みな、カウンターの影で本を読んだり携帯をいじるような人ばかりだったんです。
でも性格はいい人達だったので私は気にしないようにしていました。
もちろん一緒になって頑張って働く人達ならもっと嬉しかったですが。
私は割り切って自分だけはやろうと思い、お客さんに声をかけて販売に励みました。
するとある日店長に「あなたが来てから売り上げが伸びた。ありがとう」と言ってもらったんです。
私は販売の仕事が好きだったので嬉しくなりました。
そしてそこからさらにやる気を出して頑張りました。
そうすると店長から声をかけられることが増えて自然と変だという様子がわかってきたんです。
まず声が極端に小さくて何を言っているのか半分以上聞き取れません。
また、おなかが痛いと言うと「女の子の日なの?」と嬉しそうに聞いてきます。
自分は仕事らしい仕事をせず、店にはほとんど来ません。
しかし来るとぶつぶつ言いながら店内をうろうろし、お客さんは気味悪がって足を止める方までいました。
給料日前に店長が失踪?!連絡が取れないまま他のスタッフたちと店を運営
ある日、いつものように出勤すると一番古くから勤めているスタッフが「店長がいなくなった!」と騒いでいます。
どういうことか訊ねると「連絡が取れなくなった」と言うのです。
「失踪したのかもしれない」と。その時私はもうすぐ給料日だということに気がつきました。
給料日前にいなくなる店長…これは給料をもらえないのでは?と頭によぎったのです。
お店は確かに繁盛してはいませんでした。
しかし、趣味で経営しているお店だと聞いていたのでお金のあてはあるのだと思っていたんです。
それなのに他のスタッフに聞くと思った以上にお店は厳しい状態でした。
起死回生のつもりで新しいスタッフを入れ、売り上げも伸びたけれどもう後の祭りだと…。
私の力不足かとも思いましたが私は誰よりも精一杯やっていたと思っています。
他のスタッフが言っていたように、対応が遅過ぎたのでしょう。
数日間店長と連絡が取れない日が続き、私達だけでどうにかお店を回していました。
テナントなので急に休むというわけにもいかないからです。
どのスタッフも「こんな無責任な店長が経営しているお店は辞めるつもりだ」と言い出しました。
私もそのつもりでした。店長と連絡がついたら辞めさせてもらおうと思っていました。
やはり、勤める以上は信頼が大切だという考えがありましたし、またこのようなことがあっては困るからです。
結局お店は閉店が決まり退職!簡単に切り捨てられる立場なんだと腹が立った
しばらくして店長と連絡が取れました。
店長は「お店を辞めるつもりだ」「他の場所でやり直す」と言います。
しかし、どのスタッフも怒りながら退職を志願しました。
私は心のどこかで売り上げを伸ばした功績を評価してもらって引き止められるのではと期待していましたが、「好きにしていい」といった感じでがっかりしてしまいました。
誰よりも頑張ったのに最後にはこうやって簡単に切られるのだと感じた瞬間、この仕事に未練はなくなり退職することにしました。
やはり、仕事をする上ではやりがいがなくてはつまらないものです。
お店のため、店長やスタッフのため、そんな思いがないまま仕事を続けなくてよかったと思っています。
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