医療機器メーカーで医師受けを狙って女性を営業に、と配属された
私は、医療機器メーカーの営業を担当しています。
大学卒業後、入社して4年目で何とか取引先の病院、医師にも話を聞いてもらえるようになってきました。
営業職は希望ではありませんでしたが、配属を言い渡され「就活に苦労したので絶対辞めたくない!」とチャレンジしてきました。
医師は圧倒的に男性が多いので、若い女の営業は有利に働くという理由だそうです。
医療現場のことは全く分からなかったので、必死になって勉強し頑張ってきました。
そんな私が、仕事を超絶辞めたくなった時の体験談です。
イケメンなだけで恐ろしく仕事ができない後輩が登場
そんな私にも後輩ができました。
新卒の今時風の男子で、かなり女子にもてそうな容姿です。なにしろ、背が高くてさわやかなのです。
これは、医師に取り次いでくれる医療事務や医療秘書さん受けを狙ってのことだと、後になって知りましたが。
そんなイケメン男子の後輩をA君としましょう。
上司から各病院の訪問時にA君を同行し、つれて回るように指示され2人で回るようになりました。
A君は、トロい。
A君は、気が利かない。
A君は、かっこいいけどただそれだけ。
30分くらい一緒にいてすぐに気が付いてしまいました。これから世話が焼けそう、と暗い気持ちになってきました。
医師というのは、口が悪いものです。営業ではある程度の下ネタについていかなければなりません。
「お、イケメンだな。お前もう喰ったのか?どうだった」
「こんな貧乳相手にしても面白くないやろ」など散々な言われようです。
私は、「いやだー先生!私、結構隠れ巨乳なんですよ」とか言って笑って返しているのに、横ではA君がつまらなそうな顔をして立っているばかりです。
営業先からのクレーム勃発し後輩のミスをかぶる羽目に
一人で営業を回らせることはできないので、A君には電話の取次ぎや簡単な発注からやらせていました。
何かあったら、変わったことがあればすぐに報告するように、と指示していました。
そんなある日、担当する総合病院の事務長から電話がかかってきました。「とにかくすぐに来い」とのこと。
悪い予感しかしません。
高額医療機器のメンテナンスを依頼していたのに、動いていないとはどういうことだ、おかげで予定していた検査ができず患者に迷惑が掛かった。という大クレームでした。
いきさつはわからないものの、事務長と担当に平謝り、土下座寸前です。
おまけに担当医師には、「新しく来たイケメンとイチャイチャしてるからこんなミスするんだ!軽い女め」と、侮辱する言葉を投げつけられ、事務長からは「交際しているのか?会社に報告しないといかんな」とまで言われました。
とても悔しかったけど、耐えるしかありません。
クレーム対応の菓子折代を上司から叩き付けられて呆然
結局上司がも呼び出され、2人でさらに平謝りです。
帰り道では、上司に完全無視されてしまいました。
翌日も、菓子折りを持参し担当医師へ謝罪へ、もちろん1人で行きます。
翌々日も、菓子折りを持参し事務長へ謝罪へ、これまた1人です。
問題のA君は、上司からの注意は受けたものの、人ごとのような態度で淡々としている始末です。
3日連続で謝罪に行ったあと、上司に3日分の「菓子折り代」の領収書を提出したところ、バカかお前は!と怒鳴られて、財布から出した1000円札を叩きつけられました。
呆然と立ちすくみました。
その後ムラムラと腹が立って、こんな会社辞めてやるーーーっと叫びたくなりました。
上司に対する不信感で退職したい気持ちがわき上がった
上司よ、部下のミスをフォローせずに無視するだけなの?
菓子折りくらい自分で負担しろって?
A君よ、本当にあなたの事が嫌い。使えないばかりかこんな迷惑かけられて。
医師よ、怒りすぎじゃない?行っている事は侮辱罪で捕まるレベルですけど。
本当にいろんな思いが渦巻いてきて、もう仕事に行きたくない、辞めたい、いなくなりたい。と混乱していました。
と同時に、就活で苦労した事、就職できて喜んでくれた両親の事を思い出しました。
やっぱり、理不尽な事があっても仕事辞めずに頑張ろうと思えたきっかけです。
発作的だった「辞めてやる」という感情
そんな嫌な事があった後で、A君はあっさりと仕事を辞めてしまいました。
なんの相談もなく、急に来なかったため、連絡しないと!と電話しようとしたら事務員さんから、退職したよ。と言われて拍子抜けしてしまいました。
なんで辞めたの?
聞くことも出来ず突然会社に来なくなるなんて、ちょっとショックだった反面、ホッとしました。
上司は、数日経てば元の態度に戻り、何事もなかったような感じになりました。
事件があった病院の担当はベテランの営業さんに変わってもらうことになり、一気にストレスがなくなりました。
思えば、自分が味わった会社辞めてやるーーという思いは発作的なものだったような気がします。
どうしていいかわからない時、混乱している時、時間が解決してくれることもあるんんだな、と感じています。
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