仕事ぶりを評価されて会社を代表する携帯ショップに
私は某携帯ショップの店舗の店長として働いていました。
定期的な人事異動の発表で、いろいろな店舗を任されてました。
昇進願望が強かった私は、成果を出すため時間を惜しまず、遅くまでの残業や休日出勤も会社のためと自分のためと思いがむしゃらに働いて、任された店舗ではそれなりに結果を残せるようになり自分にも自信が湧いてきており、上司にも頼ってもらえるようになりました。
そんな頃にいつもの人事異動発表。
会社の中でも一番大きな店舗。会社を代表とする店舗の店長に抜擢されたのです。
私はとても嬉しくて、さらに仕事を頑張ろうと思いました。
異動先のお店でも必死に悪い状況を改善しようと努力!
実はその店舗、店長に抜擢された人達はいろいろな理由で割と短期でチェンジされていとのこと。
大きな店舗だけに様々なお客様が来るわけなので、その店舗自体に原因がなくても大きなクレームを言いに来る方もいるとか。
私は今まででもそう言ったことを乗り越えてきたと、自信満々で誰にも達成出来なかった成果を出してやる!と意気込んでました。
異動初日にスタッフ達と顔を合わせると、みんなどんより疲れ切った顔をしていて、広いお店も活気がなくお葬式のような静けさ。
一体何があったのだろうと感じながらも、みんなに元気付くよう声をかけながらしばらくの日数様子を見ることにしました。
確かに噂通り、クレームが多い。
クレームを受けたスタッフは疲れ切り、モチベーションはガタ落ち。
これはいけないと感じ、もともと店舗に関係が薄いクレームは全て自分が受けるようにしてみました。
例えば今から解約をするからその後は残った分割を払う義務がないとおっしゃる方、お客様サービスセンターにクレームの電話を10分前にしたけど話にならないからここにきた、名前も電話番号も何も教えないけど自分がどんなクレームをセンターに言ったか調べろとおっしゃる方。
びっくりなのは、もう解約もして使えない携帯の着信音が鳴ってうるさいから庭に埋めたのにまだ音が聞こえるからどうにかしてくれとか。それもすごい剣幕で怒鳴るし、物に当たる。
そんなようなクレームが毎日続きましたがなるべくスタッフ達は通常の業務ができるように促した結果、接客がだんだん明るくなりお客様とスタッフの笑い声が聞こえるくらいいい雰囲気になってきました。
会社の一大事に対する上層部の対応に一気に心が冷めた
もともと人員の少ない状況でありましたがお互いに助け合う気持ちもでてきており、上司にもこの変化を認めてもらい、さぁこれからだ!と思った矢先のことでした。
何年も前に起こってしまった情報漏洩が発覚したのです。
今は個人情報を守ってこそ立派な店舗、立派な企業です。
個人情報漏洩でニュースにされる企業もあるのですから。
私は自分の起こした事ではなくとも、お店を守る立場であると自覚し対応をしていくつもりでいました。
もちろん、たかが店舗の店長だけではおさまらない案件だとも思っており、上司達にも対応や指示を仰ぎました。ところがこんなに大きな事であるのに、会議だの上司側のスケジュールが合わないだの現場に立ち会おうとはしませんでした。
私は今まで自分の限界までは会社と店舗を守る気持ちで頑張っていたのにこの対応に驚きました。
その時にスーッと仕事に対しての情熱がなくなってしまったんです。
仕事に対する熱が冷めたことで冷静になった
甘いかもしれませんが、会社の一人ひとりが助け合うスタンスで仕事をするから成り立つものだと思いながら今まで仕事をしてきたので、逆にこうなった時に救いの手がなかったことに、どれだけ頑張ってもこんなものなのかと。
これは別の話になってしまうかもしれませんが、この頃婚約者がいたんですが、仕事に没頭しすぎてギクシャクした仲にもなっていたのでこの際だから辞めてしまえと決心がつきました。
この件が終わった後、すぐに退職し今はきっちり定時あがりの事務員です。
婚約者とは退職した頃には手遅れで破局しましたが、今は自分の時間を大事にゆっくり過ごせて満足です。