初めての福祉の仕事にあまり深く考えずに就職することになった
僕は以前福祉関係で介護の仕事をしていました。
障がいをもった子供達と接するお仕事なのですがとても良い職場とは思えなかったのでその時の体験談をお話しします。
元々、介護の仕事をするつもりではなかったのですが、大学を卒業してからも特にしたい事も無く、だらだらとバイト生活を続けていました。
それを見かねたのか友人が介護の仕事を紹介してくれる事になりました。
特別、介護の仕事に対して嫌悪感もなかったので、とりあえず始めてみる事になりました。
介護の仕事は大変だったけど、真摯に仕事に取り組みやりがいを感じていた
仕事を始めた当初は毎日毎日が勉強の日々。
最初はアルバイトで入り、その間に資格をとるつもりで働いていました。
相手は子供達なのですが軽度から重度の障がいを持った子供達。
どの子供と接する時も繊細な目配りや配慮が必要で神経がすり減っていくのがわかりました。
ただ、それでも子供達は純真無垢で、仕事を始めて数ヶ月後にはかなり愛着も持つことができました。
覚えることの多さもそうですが、何より子供達との接し方、人間関係の技量が問われる仕事でした。
僕は初めてやりがいのある仕事に就けたのではないかと思いました。
場合によっては子供に噛まれたり、ツバを吐きかけられたり、道路に飛び出して車に轢かれそうになったりして尋常じゃないくらい冷や汗をかいたこともありました。
ですが、なんとか毎日をイキイキと過ごす事が出来たのではないかと思っています。
特に子供達には未来があるので頑張って子供達と接し、出来なかった事が少しずつでも出来てくる瞬間に何よりのやりがいを感じる事が出来ました。
真髄に子供達と接していると子供達も受け入れてくれる事が多くなり、僕が誕生日を迎えた日には折り紙で作った手作りのお花や、手書きのお手紙をくれたりして涙してしまう時もありました。
仕事も段々と慣れてきて、2年経ったあたりでは無事に資格も取る事が出来て、次は管理の資格を取る段階まで来ていました。
このあたりから、正規雇用としてお仕事をさせていただいていて安い給料でも毎日を有意義に過ごせていました。
元々子供が大好きということもあいまって、この時はまさに天職ではないのか、とまでも思う事が出来ました。
そう思っていた時に僕がこの仕事を辞めようと決意する事件が起こりました。
利益を追求する会社に自分のやり方を否定され退職を決意した
介護の仕事も3年程の月日が経とうとしていました。
そんなある日、理事長から呼び出しがありました。
なんの心当たりも無かった僕なのでいつも通りに事務所へ入りました。
するとそこには理事長と副理事長の姿あり、雰囲気は険悪なムードになっていました。
僕は何事かと思い、何かありましたか?と聞かずには入られませんでした。
すると理事長がこう言いました。
「◯◯くん、(僕の名前)あまり子供達と仲良くするのを控えてくれないか?」
との事。
何を言ってるかサッパリわかりませんでした。
すると続けて副理事長が話をしてくれました。
内容としては、ぼくが子供達に対しての接し方のせいで子供達が成長して、デイサービスに来る頻度が減ってしまうという事でした。
デイサービスを子供達が利用すると日当1万程の支給金が支払われます。
それが日に日に子供達が成長していくにつれて、親御さんがある程度満足してしまい、子供達がデイサービスを利用する頻度が減ってしまうとの事でした。
ぼくは余りの怒りに、長年お世話になった理事長、副理事長にこれでもかというほど声を荒げて罵倒していました。
あれだけ子供達を愛した数年間が迷惑だったと言われた様でぼくは我慢する事が出来ませんでした。
それでも数ヶ月はまだ職場で働くことを続けていましたが子供達へどう愛情を持って接していけばいいのかわからず半年後には辞職する事になりました。
全ては理事長の言葉で決断しました。
君はこの仕事に向いていない。
この仕事はあくまで水商売だからそんな事で怒りをあらわにしてしまっていては商売にならない、と。
それを聞いた時には怒りを通り越して放心状態になってしまっていました。
ぼくはどうすればよかったのか、どう子供達と接したらよかったのか、ぼくが子供達へ向けた愛情は間違っていたのか。
そんな事を考えながら毎日を過ごしていました。
久しぶりにデイサービスを利用していた子供に会って救われた
それから数ヶ月経ったころ、久しぶりにデイサービスを利用していた子供に合う機会がありました。
最初、僕は気づいていませんでしたが、子供が僕に声をかけてくれました。
先生、久しぶり!元気?会えて嬉しい!
と子供はあの頃と変わらない純真無垢な笑顔でニコニコと接してくれました。
少し気まずい僕でしたがその時子供がこんな事を言ってくれました。
「先生が元気で嬉しい、先生好き!」
とカタコトではありましたが、疑いようのない愛情を僕に向けて発信してくれました。
その時僕は全てが報われた気がしました。
あの時の愛情は間違っていなかったんだ、と。
むしろ僕の愛情を僕が疑ってしまった事が一番の罪だったと。
現在僕は別のデイサービスで子供達と過ごしています。
やはり子供は好きで毎日新しいことを教えてくれます。
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