設備会社で設計職に考えずに就職したが、そこで男社会の現実を知った
30代前半の女性です。
現在は専業主婦として夫を支えつつ、二人の幼い子供の育児に専念する毎日です。
専業主婦になる前は、都内の中心部にある某設備会社、通称サブコンで設計職に就いていました。
子供の頃から建物を見るのが大好きという少し変わった少女でしたが、大学では建築学部に進学しました。
そこでは私と同じように少し変わった女子学生たちが集まり、一緒に勉学に励みました。
この頃から周りは男性だらけ。
学部内における女子学生の割合はは全体の1/10でした。
ただ、そんな貴重な女子たちを周りの男性たちは悪いようにはしませんでした。
思えばこれが学生と社会人との違いなのでしょう。
そんなことに気付かなかった私は就職後、思いもよらない洗礼を受けるのでした。
就職活動もすんなりそのものでした。
懸命に企業研究や訪問に励む男子学生をしり目に、ゼミの教授のつてで就職先を2ヶ所紹介されました。
これも後に分かったことですが、女性社員を積極的に採用しているという企業側のアピールと教授の思惑とが合致したものでした。
それに気付かず、苦労もせず、考えもせず、勉強もせずの私がただただ悪いのです。
それすらも踏み台にする精神力と能力が私にはなかったというだけの話です。
学生気分のまま入社し研修!現場研修で会社の厳しさを知ることになった
入社後は数ヶ月、研修期間がありました。
会社の寮で個室をあてがわれて寮生活をしながら、仕事内容の勉強や社会人としてのマナーなどを学びました。
そこにいるのは新入社員が数十人と寮の所長、それから各支社から講義ごとに現役の社員が講師をしにきていました。
なのでまだいくら社会人としてのマナーを学ぼうが学生のノリで、私と他4名の女性新入社員は物珍しげに見られるだけでした。
それからガラッと状況が変わったのは、その研修期間の中ほどで現場研修が行われたときでした。
新入社員たちが一人ずつ全国各地の建設現場に派遣され、2ヶ月間実際の現場で研修を行うというものでした。
全くの素人が最前線に派遣され、見たものはとても壮絶なものでした。
もちろん研修期間などない企業もありますし、そんなことはこの業界でなくてもどこだってそうだと思います。
最初はみんな右往左往しながら学んでいくのでしょう。
しかし私たちは「研修生」という名の学生気分の身だったので、みんなが一様にショックと洗礼を受けたのでした。
私の場合は放置をされました。
当たり前と言えば当たり前です。
向こうからしたらなんの戦力にもならない素人に勉強させろと言われるのですから。
こちとらそんな素人に構ってられる暇などないというわけです。
仕方なくせっかくの2ヶ月間の現場研修でしたことと言えば一人で机上の勉強と電話番、コピー、外注社員とのおしゃべりくらいでした。
この時点で数十人の新入社員の中で二人ほどリタイアが出ました。
研修が終わってもただ放置されるだけ。女性社員はただのお飾りだと実感!
そして晴れて研修期間が終わり、配属先も決まっていざ出社!
しかしながら私を待ち構えていたのはあのときと同じ放置状態なのでした。
仕事はもちろんさせてもらえましたし、最初は指導員も付きましたがとにかく放置。
分からないことも分からず、ミスをするばかりの日々。
就職して8年、その状況は変わることはありませんでした。
そう、私たち女性社員はお飾りであり、戦力外であり、扱いずらい存在なのでした。
中には戦力となり、仕事の中心となっている先輩女性社員もいました。
その存在を励みにいつか私も・・・と思っていましたが、そんな彼女達のとった行動は、寿退社、おめでた退社でした。
そして気付いた事実。わが社には結婚後にましてや子育てをしながら働いている女性社員がいないということ・・・。
大袈裟ではなく前例が0なのでした。
残っていたのは婚期が遅れ仕方なく戦力となっていた女性社員と若い20代の女性社員。
こんな分かりやすい男性社会があるものかと思ったのでした。
一人、結婚後もバリバリと働く優秀な20代後半の先輩女性社員がいました。
本当にとても優秀で、男性社会の中でも生き抜く精神力も兼ね備えていました。
しかしながら結局は妊娠とともに退社。
彼女の素晴らしいところはその前に一級建築士の資格を取っていたこと。
社内でステップアップするためかと思っていましたが、産後の再就職のためだということが分かりました。
彼女のように、彼女ほどの能力と精神力もない私の将来、いく末は・・・。
そう思ったとき、会社を辞めようと決心したのでした。
男社会で生きていく能力がなかった。寿退社することになり正直ホッとした
私には学生時代から交際している年下の彼氏がいました。
彼もまた都内の会社に就職し、SEとして働いていました。
彼が一人前になったら結婚しようと私の方から切り出したのでした。
彼は快く承諾してくれました。
結婚後の仕事について、考えましたが、この業界で生きていく能力のなかった私は潔く諦めました。
でも今はその選択をしてよかったと思います。
大好きな建築の仕事で、夢は果たせませんでしたが、少しでも携われたことが今となってはいい思い出です。
ただもし自分の娘が男性社会で生きていきたいと言ったら、止めるかもしれません。
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