親のコネで大手電機メーカーに就職したものの、仕事もできず無為な毎日を過ごす
一人娘だった私は、親元を離れ東京の短大に通いました。
就職の際は、地元に戻る約束だったため、就職活動もろくにせず親の決めた会社にコネで入社しました。
入社した会社は、とても有名な大企業でした。
誰もが知っている大手電機メーカーです。
女性の社会進出が著しい昨今ですが、やはり電機メーカーは、まだまだ男社会といった雰囲気でした。
特に、私が配属された部署は、古くからある設計部門だったため、女性は補助的な仕事しかさせてもらえず、ニコニコしてみんなのお手伝いをすればそれでよいといった感じでした。
もともと、やりたいことも目標もなく入社した私。
毎日がつまらなくてたまりませんでした。
一時は、社内恋愛で浮かれていた時期もありました。
その時は、そのままお付き合いをして、いずれ結婚するものだと思っていました。
そんな将来を夢見ていたころは、つまらない会社もそれほど苦痛にならず過ごせていました。
でも、そんな楽しい時は長く続きませんでした。
同じフロアにいた男性に振られてからは、ますます居心地が悪くなり、もう辞めたくて辞めたくてたまりませんでした。
また、つまらない毎日に逆戻りです。
おまけに、5年も働いているのに自分の部署で取り扱っている業務のことなんて、ほとんどわかりませんでした。
私の仕事は、主に勤怠管理と出張旅費の精算でした。
仕事の電話で伝言を頼まれても、相手が発する専門用語を、どんな漢字で書くのか、それともカタカナで書くべき単語なのか、それさえもわかりませんでした。
5年も勤務していたのにです。
本当に情けなくなり、そこに居続ける意味を感じられなくなりました。
今思い出しても、あの頃の私は、抜け殻そのものでした。
好きな仕事に携わりたい!旅行会社に転職を決めた
入社して5年。会社を辞めたいと常々思っていた私でした。
でも、辞めてどうすればいいのか、何かやりたいことはあるのか、自問自答の繰り返しでした。
そんなとき、ふと思いついたのが唯一の楽しみである、旅行でした。
私は、つまらない会社生活のストレスを発散するかのように、少しお金がたまるとすぐに旅行に出かけていました。
国内の温泉はもちろん、海外旅行にもたびたび出かけていました。
「大好きな旅行に携われたらどんなにいいだろう。」と思うようになりました。
そんなとき、勤務していた大手メーカーの系列旅行会社が、人をさがしていることを知りました。
たまたまその会社に友達が勤務していたため、情報が耳に入ってきたのです。
男性社員の出張の切符の手配で、何度も利用していた会社でした。
そんな安心感もあり、ここで働けないかと真剣に考えるようになりました。
そして、友達を通して口利きをしてもらいました。
旅行会社の方としても、全く面識のない人物を雇うよりも、顔見知りの人物を雇う方が安心だったのでしょう。
転職話は、とんとん拍子に進んでいきました。
まずは、電気メーカーに退職の意向を伝えるところから行動を起こしました。
勤怠管理や出張旅費の精算なんて、代わりがいくらでも見つかります。
すぐに退職の意向は受け入れられました。
まあ、もちろん送別会なども開いていただき、つまらない会社でしたがそれなりに仲良くしていた同僚もいましたので、そんな仲間は引き留めるようなことも言ってくれました。
でも、その時の私の気持ちは、本当に浮かれていました。
こんな会社さっさと辞めてやると思うと、引き継ぎも片づけも、本当にはかどりました。
旅行会社で新しいスタート!好きなことに関われて毎日充実
前の会社をやめてすぐ、一日もあくことなく次の会社に出勤しました。
同じグループの会社ということもあり、退職や入社にかかわる事務処理は、ほとんど会社間でやってもらえました。
これは、本当にラッキーだったと思います。
とりあえず出社はしましたが、新しい職場である旅行会社で、なんの仕事をするのかもよくわかっていませんでした。
旅行の専門知識もない自分は、ここでも勤怠管理と出張旅費の精算をするんだろうと思っていまいた。
それでも、何を扱っているかわからない会社でするよりも、ずっとマシだろうと思っていました。
ところが、新しい職場では、事務職というものがなく全員が総合職扱いでした。
そんな訳で、私もバンバンお客さんの前に出され、旅行の予約をしたり、説明をしたり、まさに習うより慣れよという毎日でした。
ドキドキの毎日でしたが、好きな旅行に関する知識はどんどん深まり、旅行業界の裏側も知ることができ、本当に充実していました。
好きなことに関わる仕事が、こんなにも充実した毎日をもたらしてくれるとは、驚きでした。
仕事を甘く見ていた!真剣に就職を考えて仕事を選ぶべきだった
今になって思えば、はじめから親のコネに頼らず、真剣に職業を考えるべきだったんだと思います。
仕事というもの、会社員生活というものをなめていたことのツケがまわってきたんだと思います。
でも、それに気づいて転職という行動をとれたことは、本当によかったと思っています。
あの時は、チャンスをつかみ損ねることなく、波に乗ることができたと実感しています。
人間は、いつでもアンテナを張って、自分の進むべき道を真剣に考えることが大切なんだと思います。
コメント