市役所の臨時職員を退職したときの体験談
私は、某市役所の臨時職員として約2年間勤めた経験があります。
そこで様々な辛い体験をして最終的には契約更新をせずに辞めました。
その実体験からお話をさせていただきます。
市役所の臨時職員という仕事はイメージとは全く違った
市役所の臨時職員という職業は私にとって初めてのことで、最初のイメージは「安全、安心で仕事をしやすい環境だろう」というものでした。
確かに社会保険等は完備されていて契約という形ですが一時的なパート先としては良いと思えました。
私の配属先では、部署内でいくつかのグループに分かれており、グループ毎に1名の臨時職員が配置されていました。
仕事はいわゆる事務職で内容自体は特に難しいことを頼まれる訳ではなかったので、スピード重視の民間企業で働いた経験のある私の仕事ぶりは職員さん達から驚きをもって評価されるほどでした。
私にとっては当たり前のことだったので、逆にそのような評価をいただいたことにびっくりさせられました。
辛かったことは、そういったスピード感の違いや一部の正職員さん達との人間関係、そしてあまりの仕事の「無さ」でした。
人間として扱われない臨時職員という立場にショックを受けた
臨時職員として働き始めて、徐々に不快な思いをすることが多くなってきました。
働く環境は安全で最高なはずなのに、正職員さん達の「臨時職員」に対するひどい扱いが露呈してきたからです。
まず、臨時職員は決して名前で呼ばれませんでした。「あの臨時さん」とか「〇〇さんのグループの臨時」といった具合でした。
そして、基本的に私がグループの正職員さんに話しかけても返答が私に向けて返ってきませんでした。
まるで臨時職員は正職員の会話に入ったり、話しかけたりする権利は無いと言わんばかりでした。
これは本当にショックで辛かったです。
またある時、正職員さんの誰かが自分のゴミ箱を倒してしまってゴミが床に散乱した時がありました。
それを見たグループ長さんが「臨時に拾わせればいいんだよ。」と言い放ったのです。
(え、それって私のこと?)と思った矢先、そのゴミ箱を倒した当人がニヤニヤしながら「ごめんね~よろしく!」と悪びれもせず言いました。
私は黙って床のゴミを拾ってはゴミ箱に入れていきました。
その様子を他の職員さん達が椅子に座って笑いながら見ていたのが忘れられません。
それから、会議でグループ全員が一時的に離席するような場合に、グループ長さんが他のグループの正職員さん達に向かって「今から会議なんで、ここに人間が誰もいなくなりますから。」と言って出掛けていきました。
(え?私は人間じゃないの?)と心の中で思いました。
もちろん正職員の中には、臨時職員である私に対してもしっかりとマナーある態度で接してくださる方もたくさんいました。
しかし一方でこのようなまるで臨時職員は正職員の下の立場で奴隷のような存在だと言わんばかりの扱いを平気でしてくる心無い方々を目の当たりにして、正直なところ私は深く失望したのでした。
臨時職員は仕事ができない方が良い?!正職員の異常なプライド
このような人間関係に加えて更に私を失望させたのは、私に業務を頼んでくる一部の正職員さん達の異常なプライドの高さでした。
彼らは、私の仕事のクオリティーやスピードが少しでも予想を上回ると私に対して非常に不機嫌になりました。
私は最初はなぜそうなるのか全くわかりませんでした。
私の経験上、事務の方が少しでも早く頼んだ仕事を仕上げてくれたら嬉しいのではないかと思っていました。
だから私は頼まれた仕事を精一杯きちんとこなしました。
しかしここでは、そうではないのだと徐々に気づきました。
業務を頼む方は、なるべく時間をかけて欲しかったのです。
なぜなら、他に頼む業務が無く「オレに新しい業務を見つける手間を取らせるのか」といった体なのです。
そして、なるべく臨時職員でしかも女性の私が「ものを知らない」方が良いのです。
「臨時よりやっぱり正職員の方ができるよな~」と皆で言い合いたいのです。
私は日が経つにつれて、なるべく非効率的に仕事をする方法を考えなくてはならない自分に疲れていきました。
人より仕事が出来てはいけない、3回に1回くらい小さなミスを入れなくてはとも考えるようになっていきました。
暇な上に生産性の低い配属先。なぜ雇ったのか辞めたあとも疑問
配属先によっては、一日があっという間に過ぎてしまうほど多忙な臨時職員さんもいらっしゃると思います。
実際に、窓口業務の方はとても忙しくてトイレに行く時間も無いとおっしゃっていました。
それに比べて、私の配属先は(なぜ臨時職員を雇うことにしたのか?)と日々疑問に思うくらいやることがありませんでした。
本当にやることが無くて他のグループの臨時職員さんは最終的に資格取得の本を持ってきて業務中にこっそり勉強していたほどです。
忙しすぎるのもきついですが、暇で本当にすることが無くしかも人間扱いしてもらえないという日々は地獄のようでした。
自分のスキルアップどころか能力が退化してしまいそうで何とも空しい毎日でした。私は次年度の契約を更新しないことを決意したのでした。
退職の前に次に来る自分と同じ臨時職員のために資料を作った
臨時職員を辞めようと思ってから実際に退職するまでの間、私は一切自分から率先して雑務を引き受けたり、職員さんに何か出来ることはありますか等といった「余計なこと」を尋ねたりすることをやめました。
ただ頼まれた仕事のみを、もうこれ以上ゆっくり出来ないと思えるところまでゆっくりと時間をかけて行いました。
その一方で、引継ぎ資料を作成していました。
私が契約を更新しないと知ったら、きっとグループ内の職員さん達がパニックになると思ったからです。
どうせ臨時職員が作った引継ぎ資料なんて読む価値がないと言われるでしょうが、私は私の後に来られる臨時職員さんのために作っていました。
きっとその方が苦労されると思ったからです。
私の様に職員さんから仕事の進め方を一切教えてもらえずに正職員でもないのに事務を一切任されることになったら大変な思いをされるでしょう。
そうならないために引継ぎ資料を残したかったのです。
職員さん達とも必要最低限の言葉しか交わさず、無感情にひたすら黙って自分の存在を消すかのように静かにPCに向かっていました。
そして終了時刻が来るやいなや、「お先に失礼します。」とだけ言ってその場を逃げるようにさっと帰宅しました。
市役所を出た瞬間の解放感といったらなかったです。まるで生き返ったかのように感じたものでした。
今、その頃のことを思い返しても暗澹たる気持ちに苛まれます。
臨時職員の期間は、随分と夫の励ましをもらいました。
夫の支えがあったからこそどうにか続けられたと思っております。
これが、私の会社を辞めたいと思った時の体験談です。
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