社内で人生初めてのいじめにあい、辞めたいと感じることがあった
もう会社辞めたい!
そう思ったのは、生まれて初めて「いじめ」を体験したときです。
子供のころから学生時代までにも、ちょっと仲間外れになってるな、と感じたことはありましたが、がっつりいじめられてる!と感じたことはありませんでした。
それが社会人になってから陰口を言われ、会社での私の居場所をなくそうとする人が現れました。
仕事は大好きでしたし、気にしないで仕事に集中するように心がけました。
それでも、家に帰ってシャワーを浴びてるときに、相手の女性の顔が浮かんでくるようになったときにはキツかったです。
だんだん想像が膨らみ、彼女だけでなく、会社の他の人にも良く思われてないのなら、もう辞めてしまいたい!と思いました。
そんなときに、まず救いになったのは「本」でした。
たまたま気分転換に本を読み始めたことをきっかけに読書が趣味になった
会社の空気が悪い日々の中で、ある日、会社帰りに書店に足が向いていました。
それまでの人生では、読書の習慣は持っていませんでしたが、何か答えが欲しかったのかもしれません。
書店で目に留まったのは「なぜ美人ばかりが得をするのか」というタイトルの本でした。
目の前にある問題とはまったく関係のない本です。
読んでみても、やはりまったく答えは見つかりません。
それでも、本を読んでいる間は、本に書かれている世界に没頭して、会社のことを忘れている自分に気づきました。
答えは見つからなくても、心にほっとできるスペースができ、狭くなっていた視野を広げてくれたと思います。
そこから、いろんなジャンルの本を読むようになりました。
現実から一時逃避するために習慣となった読書ですが、それからの私の人生をとても豊かにしてくれました。
読書がきっかけで自分が置かれている状況を客観的に考えるようになった
読書をするようになって、視野が広がり、自分を俯瞰できるようになると、それまで見えていなかったことが見えてくるようになりました。
私が勤めていたのは不動産会社でした。
売買部門と賃貸部門の2つの営業部門と、総務事務経理部門(以下、事務部門)の3つで構成されていました。
当時、私は事務部門のトップでした。
そして私を目の敵にしていた人は賃貸部門のトップとして中途採用された人でした。
売買部門1件の契約で動く金額が数千万円から数億円に対して、賃貸部門は数十万円。
会社も、私たち事務部門に、売買の事務処理を優先的に行うようにという暗黙の姿勢がありました。
また、売買部門は9割が男性社員で、賃貸部門は9割が女性社員でした。
男尊女卑の社内風土がありました。
それまでは、そんな社内風土に疑問を持たずに売買部門の事務処理を優先的に行っていたのですが、賃貸部門の事務処理も積極的に行うように部下に指示しました。
賃貸部門の女性らも、動く金額が小さくとも仕事量が少ないわけではないので、事務部門に不満が募っているのではないかと思ったのです。
彼女に嫌われても、ほかの人の信頼は壊さないよう、それまで以上に誠実に仕事をしました。
それまでは、会社での人間関係はシンプルにしておきたかったので、昼食もひとりでとることが多かったのですが、部下や賃貸部門の女性らとも一緒にとるようにしました。
自分が積極的に相手方のために動くことで徐々に理解者が増えた
賃貸部門が仕事をしやすいように、事務処理を行い、コミュニケーションを積極的に取るようにすると少しずつ変化が生まれてきました。
あるとき、その女性が私だけ外して、賃貸部門の女性全員と事務部門の女性全員からお金を集めて、上司の誕生日にプレゼントをするという陰湿なことをしました。
私だけ声が掛かってなかったことが発覚すると、事務部門の女性が彼女に「あなたのやってることはおかしい」と抗議してくれたのです。
抗議してくれた女性はその彼女より年上ではありましたが、社内での地位は彼女より低く、抗議するのはとても勇気がいることだったでしょう。
またあるときは、売買部門の男性から「彼女は会社内で派閥を作ることには長けているけれど、仕事をする気はあまりない人だ。だから、しっかり仕事をしてる君が気にすることないよ」と励まされました。
彼女はその後も、いろいろと陰湿な嫌がらせをしてきましたが、同じくらい私を守ってくれようとする抵抗勢力が社内に生まれました。
嫌がらせはなくなっていったものの、職場の人間関係の怖さを実感した
彼女はたくさんの人が雇われ、またたくさんの人が辞めていく前職の保険会社で、やはり社内で派閥を作り、気に入らない人は辞めさせてきたのでしょう。
それが今度の会社では通用しないとわかってくると、あるときから諦めたようでした。
嫌がらせは徐々になくなりました。
仲良くなることはなかったですが。
彼女ほど直接的ではなくとも、彼女の側につきながら、表面的には友好的に接してきた人たち…今から思うとこの人たちも怖いです。
彼女が現れなかったら嫌な思いをすることはなく、会社を辞めたいとは思わなかったかもしれません。
けれど、彼女が現れたおかげで、読書の習慣を手に入れました。
それは、今も私の人生を本当に豊かにしてくれています。
彼女が現れたおかげで当たり前だと思っていた男尊女卑な会社の風土に疑問を持てたように、当り前を疑い見つめなおすことができました。
彼女が現れたおかげで、仕事により誠実に取り組み、周りの人との信頼関係を築くことができました。
彼女が現れたおかげで、表面的には友好的でも、実のところ人の心はわからないことも体感できました。
すべてはそのときの私に必要だったことだと今は思えます。
時折、彼女のことを思い出しますが、今では感謝の気持ちしか感じません。
コメント