看護学校を卒業後新人として入り、6年間働いた大型総合病院を退職した理由
現在30代女性、元看護師です。
その病院には看護学校を卒業し、新人のころから28歳までつとめました。
地方の大型総合病院でした。
地方の大型病院だったため、末期癌や重症な患者はこの病院に搬送・入院するケースが多く、特に内科病棟はいつもベッド数が足りないくらい満員御礼の状態でした。私がその内科病棟に勤務していたころの話です。
業務は非常に多忙をきわめ、出勤1時間前には病棟に入るのは当たり前のことでした。
新人時代は1時間30分前にいつも出社していました。
病棟に着くと、仕事の段取のために、その日にしなければいけない検査や処置、ケア、点滴をピックアップし、たくさんの準備をしていました。
どのベテラン看護師でも最低勤務開始時刻の45分前には出勤していました。
本来ならば準備時間だって業務の範囲であるはずでしたが、そうしないと始業時間になってもすぐに患者のところに行って行う業務にとりかかれなかったからです。
私の勤務していたようなそんな忙しい病棟もあれば、定時に出社することができる比較的業務に余裕のある病棟もあり、病棟間の業務の差が大きい病院でした。
それにもかかわらず、多忙な病棟看護師の増員などはありませんでした。
それにくわえて、その病院ではなぜか看護助手も病棟に1人しか配置されておらず、特に資格の必要としない業務…つまり医療行為の伴わない物品補充や掃除などの雑用も看護師が行うことも多かったのです。
患者自身はなにをするにも医療処置や観察と医療的介助が必要となる方が多かっため、看護師が人手不足の状態でもあるにもかかわらず、さらに医療行為以外の雑用に時間をとられるのには腑に落ちないと私以外の看護師も愚痴りながらもなんとか協力して日々の業務をこなしていました。
重篤患者が多い職場だったため就業時間内に仕事が終わることはなかった
重症患者がいるということはそれだけ病棟内で死亡する患者や急変する患者も多く、処置も増え、その処置を看護記録として残さなければならないので業務も必然的にどんどん増えます。
スタッフ全員が毎日終業時間に終わることはありませんでした。
どうしてここはこんな風になっているのだろう…。私はいつもそう思っていました。
でも、そんな忙しい業務の中でも「つらいのははじめの3年、その間は残業も我慢しなさい。
3年たてばある程度は一人前に認めてもらうことができる」そう先輩たちから聞かされていたので私たち若手は頑張って業務をこなしていました。
なので若手の頃の私も歴代の先輩と同じように勤務時間が超過しても残業代をもらおうとはしませんでした。
入社から6年、入ってくる後輩たちは病院の環境に次々と退職
私は懸命に仕事を覚えて28歳になりました。
まだまだ若輩ではありますが、勤務している病棟の業務はひととおりできます。
当時、私の下には3人ほど若手看護師がいました。
それぞれ21歳、23歳、24歳の後輩たちでした。
私は後輩を指導したりしながら一緒に働いていましたが、毎日の業務も多忙なうえ、職場の雰囲気は業務に追われて常に緊迫感といら立ちが混ざっているピリピリした状態…。
先輩からの八つ当たりのような形の圧力も大きくて、若手たちは次々と退職し、新しい転職先の病院へうつっていってしまいました。
超過勤務の申請を却下!病院の管理能力の低さに絶望し退職を決意した
ある日、私に急変した患者のため処置をし残業してしなくてはいけなくなるような事態が起きました。
でも、今まで何回も繰り返しやってきた処置です。
私にだって十分に対応できます。
先輩たちも私にその仕事をまかせ、特に何も言いませんでした。
私はきっちり仕事をこなし、患者の対応をしました。
あまりに急な仕事ではあったし、残った看護記録も一旦おいてとりくんだのですから、今日は超過勤務手当を申請しようと思いました。
私の病院は実はタイムカードがありません。
なので、職員がいつ来て帰宅したかは記録するものはありません。
ではどうやって残業代を請求するのかというと、超過勤務申請用紙に記入し、上司に提出するのです。
用紙には自分が残業をきちんとしていたという証明のため、そのときに居合わせた看護師が認めの印鑑を押すという決まりにになっていました。
私は以前にも何回か超過勤務手当をもらった経験がありました。
特に今回がはじめてというわけではありません。
私は他の看護師に超過勤務を認めてもらうために印鑑をお願いしました。
その時でした。
いやみが多くて有名な50代の看護師が若手は勉強になるんだから超過勤務手当の申請は遠慮すべきだと言ってきたのです。
この病院は暗黙の了解により、特に若手看護師の超過勤務の残業手当についてはまだまだ経験が浅く勉強しなければいけないのだから…という理由で上司や先輩ナースが残業代の申請を認めない風習がありました。
ですが、私はもう何回も今日残業としてしたその処置を一人でこなしているし、先輩ナースも私に一任してくれています。
私は直属の上司に翌日一番にいきさつを話しました。
上司は困った顔をしながら微笑み、「そうか」と言いました。
相談してから4時間ほどして上司に声をかけられ、「今回は勉強ということで超過勤務の申請はちょっと…」と言われました。
たしかに私に超過勤務申請を遠慮するように言った先輩ナースの対応は、上司にとってもはっきりいって面倒なものであるとは知っていました。
でもそれも一職員の個性です。
それを統合して組織を引っ張っていくのが上司なのではありませんか。
私は失望しました。
どおりてこの病棟はちっとも勤務時間内に業務を終わらせることができてないはずだ。業務整理ができていないんだ…と。
上司の心持だけではなく、なにもかもが甘いのだ…と。
私は退職することを決意し、看護部のトップである部長に話をしに行き、退職という形をとりました。
今では精神衛生良く毎日暮らしています。
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