将来の夢はグラフィックデザイナーだった学生時代
私は中学生の頃から、大人になるまで将来なりたい職業は変わりませんでした。
その職業とは、「グラフィックデザイナー」です。
雑誌や、パンフレット、ポスターなどの印刷物をデザインする仕事がしたくて、高校生になってからは美術系の大学に進学する為、デッザンを習いはじめました。
大学受験をするのでもちろん勉強もがんばらなくてはいけません。進学校だったので、毎日みっちり勉強した後に、放課後はデッサンをひたすら描いて描いて描いて……。
今思うと高校生にしてはけっこうハードな毎日でしたが、夢のデザイナーになるためには全く苦ではありませんでした。
念願かなってデザイン事務所へ就職!しかし現実は?
その甲斐あって、私は無事美術系の大学に進学することができました。
大学ではデザインの基礎も学び、学生としていろいろな経験をして充実した4年間をすごしました。
そして就職活動の時期になり、やはり私の夢はかわらず、デザイナーとして働くためにとあるデザイン事務所の就職試験をうけました。
当時就職難と言われていましたが、私自身は手当たりしだいというよりは的を絞って活動していたからか、2、3社しか受けず、運良く第一希望の会社から内定をいただくことができました。
その会社は、デザイン事務所で、主に食品や、和菓子、洋菓子店のパッケージ、パンフレット、広告などのデザインを手がけており、そのデザイナーとして雇ってもらえたことで夢がかなったという気持ちでした。
四月からの仕事スタートがとても楽しみで浮き足立っていたのを覚えています。
しかし、この会社で思ってもみないような生活が待っていることはまだ知る由もありませんでした。
デザイン業界の現実!残業の日々で毎日睡眠時間は3時間!
デザイン事務所に就職が決まり、夢がかなった喜びで、四月を迎えた私はついに出社1日目を迎えました。
これからデザイナーとして働ける!
期待に胸を膨らませ出勤しました。
私を合わせて同期は5名でした。
諸々の説明を受けたりしたあとに新入社員研修がありました。
3ヶ月間、その会社で働く心構えや働き方などを先輩社員がレクチャーしてくれます。
出社1日目、特にまだできることもないので、定時には退社できるのだろうと軽く考えていました。
が、7時がすぎ、9時がすぎ、、12時がすぎても「今日はもうあがっていいよ」の台詞が聞けることはありませんでした。
出社一日目から日が変わるまで会社にいることになろうとは……。
それでも私は、デザイン業界はこうれくらいあたりまえ、たまにはこんな日もあるのだろうくらいに思っていました。
昔からの夢であるデザイナーになるためなんだからこれくらいでへこたれてどうする!とがんばりました。
しかし、今日もその日のうちにかえれなかった、今日も、今日も、今日も、、、気づけば日が変わるまでに帰宅できたがほとんどないまま、1年が経っていました。
もちろん、その1年の間にデザイナーとしての技術を沢山学んだし。
社会人としてのありかたも学び、成長できた部分ややりがいもあったと思います。
でも、その頃の私は、いつの間にか夢だったデザイナーとしてがむしゃらにやっていくことよりも、早く家に帰りたい、その為にただはやく仕事を終わらせたいとばかりかんがえるようになっていました。
毎日睡眠時間は3時間程度。
体調は悪く肌もガサガサ、生理は不順になり不正出血もおこりはじめ、毎日半分寝た状態での通勤。
車を運転して通勤していたので、何度も事故をしそうになりました。
そして、最終的には、出勤中の車の中で、「もし、今ここで事故って死ねたら会社に行かなくてすむ、、」とまで考えてしまうようになっていました。
そしてある日会社で勤務中に過呼吸になって救急車で運ばれました。
はっきり言ってもう限界でした。
心身ともに限界!退職を決意
会社の働き方にネガティブな思いしか抱けくなっていたある日、会社にある、社員の連絡掲示板を見ました。
その掲示板は、社外へ打ち合わせで出るときや、少し出勤が送れるなどの事項を書き込めるようになっていました。
そこに、○○さん、病院、○○さん、病気のため休み、という先輩社員の体調不良に関しての文章が5つぐらいならんでいました。
それをみてふと、私は「そうだ、もう会社やめよう」と思ったのです。
デザイン業界はこういう業界、徹夜はあたりまえ、サービス残業あたりまえ、体調をくずしてもやり続けるしけない、女性は結婚出産なんてせず仕事に打ち込んで行く時代、、そんな空気の中でわたしは完全に夢と理想の現実を見ました。
もちろんデザインの仕事は好きで、いまでもこの会社で学んだ技術を武器にデザインの仕事は続けていますし、その会社での経験はとても大事な人生の一部です。
あのまま続けられていたらもっと今の自分はたくましいかっこいい人間になれていたのかもとも思います。
でも今、二児の母として、子どもとの生活を大事にしながらデザインの仕事をしているこの時間がとても充実しているので、デザイン業界すべてがあのときのあの会社のような働き方だけじゃないという現実を知ることもできたのです。